「単価を上げたいけど、どう切り出せばいいかわからない」「交渉して断られたらどうしよう」——フリーランスエンジニアとして働いていると、必ずこの壁にぶつかる。自分も最初の数年は単価交渉がまったくできなかった。怖かったというのが正直なところで、その結果として割に合わない仕事を長く続けた時期がある。今回は18年やってきた経験から、単価交渉の実際を書いていく。
単価交渉は「要求」ではなく「すり合わせ」
まず考え方の話から。単価交渉を「給料アップの要求」のように捉えると、クライアントとの関係がギスギスしやすい。自分が今意識しているのは「お互いの条件をすり合わせる会話」として設定することだ。
フリーランスの単価は市場価格・スキルセット・稼働条件・クライアントの予算によって決まる。どれか一つで決まるわけじゃないので、「自分はこれだけの価値がある」という主張より「今の条件はこういう状況で、こう変えられないか」という提案の方が通りやすい。
これを意識し始めてから、交渉の成功率がかなり上がった。
タイミングが9割:いつ交渉するか
単価交渉で最も重要なのはタイミングだと思ってる。同じ提案でも、タイミングによって通るか通らないかが変わる。
交渉が通りやすいタイミング
一番通りやすいのは「成果が出た直後」だ。プロジェクトのリリース直後、大きな問題を解決した直後、クライアントから感謝の言葉をもらった直後——このタイミングで切り出すと、相手も「確かにこの人には価値があった」と感じている状態なので話が進みやすい。
次に通りやすいのは「契約更新のタイミング」だ。3ヶ月更新・6ヶ月更新の契約なら、更新前に「次回から単価を見直したい」と伝えるのが自然な流れになる。これが一番揉めにくい方法でもある。
避けるべきタイミング
逆に避けた方がいいのは「プロジェクトの佳境」だ。クライアントが追い詰められている時期に単価交渉を持ち出すと、「今それを言うの?」という印象を与えやすい。結果として通ったとしても、関係に微妙な空気が残る。
具体的な交渉の進め方
Step 1:市場単価を把握する
交渉前に自分のスキルセットの市場単価を調べる。エージェントサービス(レバテック、Midworks等)の公開単価情報や、同じスキルセットのフリーランス求人を見ると相場感がわかる。「市場価格がこれくらいで、今の単価はそれより低い」という根拠があると交渉しやすい。
Step 2:提案の組み立て方
交渉時の言い方として効いたのは、単価を上げてほしいと直接言うより「稼働条件の変更と合わせて単価を見直したい」と提案する形だ。例えば「週4日稼働を週5日に増やす代わりに月額を〇〇円に」「新しい技術スタックのキャッチアップにコストがかかるので単価に反映してほしい」のように、相手にとって何らかのメリットか合理的な理由がある形にする。
Step 3:断られた時の対応
断られるのは当然ある。「今期の予算上難しい」「まだ評価期間中」といった返答が来ることも多い。この時に「じゃあいつなら検討できますか」と次のタイミングを確認しておくのが大事だ。曖昧に流されると永久に話が進まなくなる。
あと、断られた後に関係が悪化するかどうかは、交渉の仕方次第だと経験上思ってる。「要求して断られた」という形より「提案して今回は合わなかった」という形なら、次につながることが多い。
単価交渉で実際に使った数字の話
具体的な話をすると、自分がここ数年で意識しているのは「年に1回は必ず単価の見直し会話をする」ことだ。物価上昇・市場単価の変化・自分のスキルアップ——どれかの理由で単価を上げる根拠は毎年出てくる。
上げ幅としては1回の交渉で5〜15%が通りやすいラインだと感じてる。それ以上一気に上げようとすると「それは難しい」となりやすい。小幅の交渉を継続する方が、長期的に単価が積み上がっていく。
受託の場合は「要件が増えたら追加見積もり」「次の案件は単価を見直す」という形で、案件単位で調整する。一度決めた単価を案件途中で変えるのは難しいので、次の案件に繋げる段階で交渉するのが現実的だ。
単価を上げにくい状況から抜け出す方法
「このクライアントは予算がなくて上げられない」という状況が続く場合、正直に言うと単価交渉だけでは限界がある。その場合は別の案件を並行して探す、または新規クライアント獲得で単価の基準を上げる方が現実的だ。
一つのクライアントに依存していると交渉のカードが少なくなる。「断られたら困る」という状況では強く出られない。複数のクライアントを持つことが、長期的な単価維持・向上の一番の方法だと思ってる。
まとめ
- 単価交渉は「要求」ではなく「すり合わせ」として設定すると通りやすい
- タイミングは成果直後・契約更新前が最適。プロジェクト佳境は避ける
- 市場単価を根拠にした提案と、相手にもメリットがある形にするのがポイント
- 断られても「次はいつ検討できるか」を確認して、話を継続させる
- 年1回の見直し・5〜15%の上げ幅を積み重ねる方が長期的に効く
- 一クライアント依存を脱することが交渉力の根本的な強化につながる
準委任契約の稼働時間精算(中央割・上下割)についてはこちらの記事もあわせてどうぞ。